国民年金と厚生年金の違いは?
1階建てか2階建てか、保険料はいくら違うか、将来もらえる年金は何が変わるかを、月給20万・30万・50万の3パターンで具体的に比較します。
✅ 2026年6月21日 一次情報確認済み(日本年金機構・厚生労働省)
国民年金保険料17,510円/月(令和8年度=2026年度)、厚生年金料率18.300%(平成29年9月以降固定)、第3号被保険者の収入要件130万円(特定適用事業所106万円)に基づく解説です。
この記事の目次
- 公的年金は2階建て─ 1階「国民年金」と2階「厚生年金」の役割分担
- 第1号・第2号・第3号被保険者の3つの立場と保険料負担
- 月給20万・30万・50万で見る ─ 保険料と将来受給額のシミュレーション
- 遺族年金・障害年金の手厚さも違う(実は最も大きな差)
1. 公的年金は2階建て ─ 1階「国民年金」と2階「厚生年金」の役割分担
日本の公的年金制度は「2階建て」とよく説明されます。1階部分は全国民共通の国民年金(基礎年金)、2階部分は会社員・公務員のみが上乗せで加入する厚生年金保険。20歳から60歳までの40年間、すべての日本居住者に1階部分の加入義務があり、就業形態によって2階の有無が決まります。
1階:国民年金は、定額の保険料(2026年度は月17,510円)を払い、将来は満額40年加入で月約68,000円(2026年度)の老齢基礎年金を受け取れる仕組み。職業に関係なく保険料も給付額も一律で、自営業もパート主婦も同じ金額です。
2階:厚生年金保険は、給与の18.300%(労使折半で本人は9.150%)を保険料として徴収。給与額に比例した「報酬比例の老齢厚生年金」が将来上乗せで受け取れます。月給30万円で40年勤めた方なら、老齢基礎年金68,000円+老齢厚生年金約66,000円=合計約134,000円が65歳から月々受給できる試算(厚生労働省モデル年金)。給与が高いほど将来の年金額も比例して増えますが、第32級650,000円(2026年度)で頭打ちです(2027年9月から段階的に75万円まで引き上げ)。
2. 第1号・第2号・第3号被保険者の3つの立場と保険料負担
国民年金の被保険者は3つに分かれます。第1号被保険者は自営業・フリーランス・農林漁業・学生・無職など。1階のみ加入で、保険料は月17,510円を自分で全額納付します(口座振替割引、前納割引あり)。
第2号被保険者は会社員・公務員。厚生年金保険に加入することで自動的に国民年金にも加入扱いとなり、厚生年金保険料(給与の9.150%本人負担)の中に国民年金分も含まれています。1階+2階の両方の給付権が確保され、保険料は給与天引きで会社が労使折半。
第3号被保険者は第2号被保険者に扶養される配偶者(20歳以上60歳未満、年収130万円未満。特定適用事業所のパートは106万円未満)。保険料の自己負担なしで国民年金に加入したものとみなされます。第2号が払っている厚生年金保険料の中に第3号分の財源も含まれている仕組みで、世帯単位での負担なしです。
たとえば夫が会社員で月給40万円、妻が専業主婦の世帯なら、夫が第2号として厚年保険料36,600円/月(労使折半本人分)を負担、妻は第3号で負担0円。夫婦合計で月36,600円の負担で、世帯で老齢基礎年金2人分+老齢厚生年金1人分の受給権を確保できます。妻がパートを始めて年収140万円になると第3号から外れ、第1号として月17,510円の国民年金保険料を自己負担(or 特定適用事業所で第2号に切替)になります。
3. 月給20万・30万・50万で見る ─ 保険料と将来受給額のシミュレーション
会社員(第2号被保険者)が40年間同じ給与で勤めたと仮定した場合の、月々の保険料負担と将来受給する年金月額のおおまかな比較です(2026年度水準ベース)。
月給20万円(標準報酬月額200,000円):本人負担18,300円/月(年220,000円)。将来の老齢厚生年金は約44,000円/月+老齢基礎年金68,000円=合計約112,000円。40年勤続の保険料総額880万円に対し、85歳まで20年受給で2,690万円受取。
月給30万円(標準報酬月額300,000円):本人負担27,450円/月(年329,400円)。将来の老齢厚生年金は約66,000円/月+老齢基礎年金68,000円=合計約134,000円。40年勤続の保険料総額1,317万円に対し、85歳まで20年受給で3,216万円受取。
月給50万円(標準報酬月額500,000円):本人負担45,750円/月(年549,000円)。将来の老齢厚生年金は約110,000円/月+老齢基礎年金68,000円=合計約178,000円。40年勤続の保険料総額2,196万円に対し、85歳まで20年受給で4,272万円受取。
一方、自営業(第1号被保険者)が40年間月17,510円を払い続ける場合、保険料総額は840万円。将来の老齢基礎年金は68,000円のみで、85歳まで20年受給で1,632万円。会社員の月給20万円ケースと比べても、保険料総額はほぼ同じなのに受取額が1,000万円以上少ない計算です(ただし国民年金基金・iDeCo・付加保険料で2階建てに近づけることは可能)。
4. 遺族年金・障害年金の手厚さも違う(実は最も大きな差)
老齢年金の差は大きいですが、実は遺族年金・障害年金の差はもっと大きいです。国民年金(1階)からは「遺族基礎年金」「障害基礎年金」が出ますが、遺族基礎年金は18歳未満の子どもがいる配偶者または子ども本人にしか支給されません。子どもが独立した夫婦の片方が亡くなっても、遺族基礎年金は出ません。
一方、厚生年金(2階)には「遺族厚生年金」があり、子どもの有無に関係なく配偶者に支給されます(妻は年齢制限なし、夫は55歳以上で60歳から)。給付額は亡くなった方の老齢厚生年金の3/4。月給30万円で20年勤めて亡くなった会社員の妻は、子どもがいなくても月約50,000円の遺族厚生年金を一生受け取れます(自分の老齢年金との調整あり)。
障害年金も同様で、障害基礎年金(1階のみ)は1級・2級限定。障害厚生年金(2階)は1級・2級・3級+障害手当金(一時金)が用意され、軽度の障害でも給付対象になります。フリーランス転向を考えている方は、老齢年金の差だけでなく、就労不能リスクへの保障の薄さを理解しておくべきポイントです。これらの差を補うには、民間の収入保障保険・就業不能保険などで自助努力で備える必要があります。
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