元利均等返済と元金均等返済の違い|総利息差と毎月返済額シミュレーション
公開日: 2026-06-15
住宅ローンの返済方式には「元利均等返済」と「元金均等返済」があり、毎月返済額が一定か変動か、総利息がいくら異なるかで家計設計が大きく変わります。本記事では3,000万円・30年・金利1.0%の同条件で2方式を比較し、計算式と総利息差を実額で示します。
出典(一次情報)
- 全国銀行協会「住宅ローンの種類と返済方式」
- 住宅金融支援機構「フラット35商品概要」(返済方式の選択)
- 金融広報中央委員会「知るぽると」住宅ローン基礎知識
- 各メガバンク・ネット銀行「住宅ローン返済方式」公表ページ
1. 元利均等返済の計算式と特徴
元利均等返済は「元金+利息」の合計が毎月一定になる方式。多くの住宅ローンで採用されるデフォルト方式で、家計設計しやすいのが最大のメリットです。
- 毎月返済額の計算式: 借入額 × 月利 × (1+月利)^n ÷ ((1+月利)^n − 1)
- 月利 = 年利 ÷ 12、n = 返済回数(月数)
- 3,000万円・30年・金利1.0%の場合: 月96,491円・総利息約474万円
- 初回返済の内訳: 元金71,491円+利息25,000円
- 最終回返済の内訳: 元金96,411円+利息80円(元金比率が後半に向けて増加)
返済が進むほど利息部分が減って元金部分が増える構造のため、序盤は元金がなかなか減りません。住宅ローン控除の対象となる年末残高も減りが遅く、控除総額は元金均等型より多くなる傾向があります。
2. 元金均等返済の計算式と特徴
元金均等返済は毎月の元金返済額を一定にし、利息は残高に応じて減額する方式。総利息は少なくなりますが、初回返済額が高く家計負担が重いのが特徴です。
- 毎月元金返済額 = 借入額 ÷ 返済回数
- 毎月利息額 = 残高 × 月利
- 毎月返済額 = 毎月元金 + 毎月利息(毎月減少していく)
- 3,000万円・30年・金利1.0%の場合: 初回返済額108,333円・最終回返済額83,402円
- 総利息約451万円(元利均等比で約23万円少ない)
初回返済額が約1.2万円高いため、収入に余裕がある高所得世帯向け。返済が進むほど月額が減るため老後資金の積立余力が増す点も魅力です。一方で取扱金融機関が限定的で、フラット35・一部ネット銀行のみが対応している点に注意。
試算: ローン返済シミュレーター
3. 同条件シミュレーション3パターン
借入条件3パターンで両方式の総返済額・総利息を比較します(金利1.0%固定・元利均等→元金均等の順)。
- 2,000万円・30年: 元利均等月64,327円総利息316万円/元金均等初回71,667円総利息300万円(差約16万円)
- 3,000万円・35年: 元利均等月84,685円総利息556万円/元金均等初回96,428円総利息527万円(差約29万円)
- 5,000万円・35年: 元利均等月141,142円総利息926万円/元金均等初回160,714円総利息878万円(差約48万円)
借入額が大きいほど両方式の総利息差は拡大し、5,000万円借入では約48万円の差が出ます。元金均等の初回返済額が家計の25%以内に収まるなら元金均等が経済合理性で優位。逆に20代の年収500万円世帯が3,000万円借入する場合、初回約9.6万円の元金均等は返済比率が23%と高めなので、元利均等の8.5万円(返済比率20%)が現実的です。
4. どちらを選ぶか判断のポイント
総利息だけで決めず、家計の安定性・住宅ローン控除・繰上返済の予定を含めて判断します:
- 家計安定優先・初回返済額を抑えたい → 元利均等返済
- 総利息圧縮優先・収入余力がある → 元金均等返済
- 住宅ローン控除を最大活用したい → 元利均等(年末残高が減りにくく控除総額が増える)
- 早期に繰上返済する予定がある → 元利均等(序盤の元金返済が遅い分、繰上返済の効果が大きい)
- 取扱金融機関の選択肢を優先 → 元利均等(ほぼ全行対応・元金均等はフラット35と一部のみ)
一般的には元利均等返済が無難な選択。元金均等を選ぶなら年収800万円以上・初回返済比率20%以下を目安にしましょう。住宅ローン控除の活用法は別記事で詳述しています。
関連: 住宅ローン控除の活用法
本記事のまとめ
- 元利均等は毎月一定・元金均等は初回が高く徐々に減少
- 3,000万円30年金利1.0%で総利息差約23万円・5,000万円35年なら約48万円
- 元利均等は家計安定・住宅ローン控除最大活用に有利
- 元金均等は総利息圧縮に有利だが取扱金融機関が限定的
FAQ
Q. 途中で返済方式を変更できますか?
原則として契約時に決定した方式の変更は不可です。変更したい場合は借換が必要となり、諸費用30〜80万円が発生します。借入時の選択が長期的に影響するため慎重に検討しましょう。
Q. ボーナス併用払いはどちらの方式でも使えますか?
両方式とも対応。ただしボーナス払い比率は借入額の40%以内が一般的です。ボーナス払い部分は半年に1回、ボーナス支給月に毎月返済額に加算する形となります。ボーナス減額リスクを考慮し、比率を抑えるのが定石です。
Q. 変動金利でも元金均等を選べますか?
フラット35と一部のネット銀行は変動金利でも元金均等を選択可能。ただしメガバンクは変動金利では元利均等のみとする所が多いため、選択肢を増やしたいなら金融機関選定時に確認しましょう。