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高齢者の室内熱中症 — 暑さ指数(WBGT)でエアコンの目安を判断

最終更新:2026年6月16日/高齢の親と暮らす家族・離れて暮らす家族向け

総務省消防庁の救急搬送データでは、熱中症で搬送される人の約半数が65歳以上、発生場所の最多が「住居」です。 屋外の炎天下ではなく、自宅の居間や寝室で発症するのが高齢者の熱中症の特徴です。 背景には、加齢で「暑さを感じる力」と「汗をかいて体温を下げる力」が両方落ちることがあります。

気温が高い日でも、本人は「そんなに暑くない」「エアコンは体に悪い」と感じてしまい、結果として室温が上がりきってから倒れる、というケースが毎年繰り返されています。 このページでは、暑さ指数(WBGT)の4区分を使って、エアコンを入れる目安と、離れて暮らす家族の見守り方をまとめました。

WBGTの4区分とエアコンの目安

WBGT区分高齢者の家での目安
31以上危険安静にしていても発症する。エアコン必須。設定28℃以下+扇風機併用
28〜31未満厳重警戒エアコンを入れる。除湿運転も有効。窓を開けるだけでは不十分
25〜28未満警戒体調・湿度次第でエアコン。麦茶など水分をこまめに
25未満注意通常は窓を開けて自然換気で対応可能

出典:日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.4」(環境省 熱中症予防情報サイトに掲載)

温湿度計の置き場所

温湿度計を置く場所で、表示される値は大きく変わります。本人がいる場所の高さ・日射の有無を意識して設置します。

  • 居間:椅子に座ったときの頭の高さ(床から1.2m前後)。日が差し込む窓際は避ける
  • 寝室:枕元の高さ(床から30〜50cm)。布団の中ではなく、ベッドサイドの机の上
  • キッチン:調理中は湯気・コンロの熱で実温度より高く出るので、計測は調理後
  • 避けるべき場所:直射日光が当たる窓辺、エアコンの吹き出し口の真下、テレビ・冷蔵庫の上

WBGT計測機能付きの温湿度計(環境省推奨のJIS B7922対応品)も市販されており、3,000〜10,000円程度。 WBGT表示があれば、上の表の値を読むだけで危険度がわかります。

離れて暮らす親への見守り

一人暮らしの高齢の親が遠方にいる場合、毎日の見守りは難しいので、「WBGT基準を超える日だけ電話」のルール化が現実的です。

  1. 環境省の熱中症警戒アラート発表時に連絡:メール配信サービスに登録して通知を受ける
  2. 朝・夕の2回の電話:「エアコンつけてる?」「水分とった?」「めまい・頭痛ない?」の3つだけ確認
  3. 室温・湿度の数字を読み上げてもらう:「今何℃?」と聞くと、本人も室温を意識する
  4. 近所・自治体の見守りを併用:自治体の「ふれあい・いきいきサロン」「民生委員」に連絡
  5. スマートリモコンの活用:遠隔でエアコンON、室温把握ができる機器(5,000〜15,000円)

「エアコンは体に悪い」と言われたら

高齢の親世代には「エアコンは体に悪い」「もったいない」という意識が根強く残っています。 正論で説き伏せようとすると逆効果なので、以下のフレームで会話を組み立てるのが現実的です。

  • 「電気代は自分が出すから」:実際の電気代は1日エアコン使い続けても夏で1,000〜2,000円程度。子世代が負担を申し出ると受け入れやすい
  • 「医者にエアコンを使えと言われた」:かかりつけ医の名前を出すと、本人の説得力が桁違いに上がる
  • 「孫が遊びに来るから」:自分のためではなく、孫のためなら使う、という心理を活用
  • 「除湿だけでもいい」:冷房ではなく除湿運転なら、寒さに弱い高齢者でも抵抗が少ない
  • 「窓を開けるとかえって熱が入る」:外気温が室温より高い時間帯は、窓を閉めてエアコンの方が体力を消耗しない

熱中症警戒アラート/特別警戒アラート

環境省は2021年から「熱中症警戒アラート」、2024年から「熱中症特別警戒アラート」を運用しています。 気象庁の予測値で、翌日または当日のWBGTが基準を超えた都道府県に対して発表されます。

  • 熱中症警戒アラート:暑さ指数(WBGT)33以上が予測される地域に発表。前日17時と当日5時の2回
  • 熱中症特別警戒アラート:都道府県内のすべての地点で35以上が予測される、過去に例のない危険な暑さの場合。前日14時に発表
  • 受信方法:環境省の熱中症警戒アラート等メール配信サービスに登録(無料)、天気アプリの通知、自治体の防災メール
  • 発表時の行動:屋外活動の中止・延期、エアコン適切使用、こまめな水分・塩分補給、高齢者・こどもへの見守り

特別警戒アラートが出た場合、自治体の「指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)」が開放されます。 役場・図書館・公民館・ショッピングモールなどが指定されており、誰でも無料で涼みに行けます。 自宅のエアコンが壊れた、停電したなどの非常時の避難先として使えます。

緊急時の判断と119番

  • 呼びかけに反応しない・意識がもうろうとしている即119番。応援を呼びながら涼しい場所に移動、衣服を緩める、首・脇の下・足の付け根を保冷剤で冷やす
  • 自力で水分が飲めない→医療機関へ。無理に飲ませると誤嚥のリスク
  • めまい・頭痛・吐き気→涼しい場所で休ませ、経口補水液・スポーツドリンクを少量ずつ。30分で改善しなければ受診
  • こむら返り・筋肉のけいれん→塩分不足のサイン。0.1〜0.2%食塩水または経口補水液
  • 119番をためらわない。救急要請の判断に迷ったら#7119(救急安心センター事業)にも相談可能
  • 熱中症の救急搬送数・発生状況は総務省消防庁の月別速報で公表されています