子どもと保育園・学校の熱中症対策 — WBGTと運動中止の目安
最終更新:2026年6月16日/未就学児・小中学生・保護者・現場の先生向け
子どもの熱中症は、体温調節機能が未発達・身長が低く地面の照り返しを受けやすい・自分で症状を伝えにくいという3つのハンデで起こります。 学校管理下では、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の災害共済給付データに毎年熱中症事案が報告され、体育・部活動・登下校での死亡事故も発生しています。
ここでは暑さ指数(WBGT)の運動指針と、保育園〜中学校までの活動別の判断基準、保護者が家でできる準備をまとめました。
日本スポーツ協会 熱中症予防運動指針
| WBGT | 気温(参考) | 運動の目安 |
|---|---|---|
| 31以上 | 35℃以上 | 運動は原則中止。特に子どもは中止すべき |
| 28〜31未満 | 31〜35℃ | 厳重警戒。激しい運動・持久走は避ける。10〜20分おきに休憩・水分塩分補給 |
| 25〜28未満 | 28〜31℃ | 警戒。積極的に休憩。30分おきに水分・塩分 |
| 21〜25未満 | 24〜28℃ | 注意。熱中症死亡事故が発生する可能性。積極的に水分補給 |
| 21未満 | 24℃未満 | ほぼ安全。適宜水分補給。市民マラソンなどでは発生例あり |
出典:公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(環境省 熱中症予防情報サイトに掲載)
活動別の判断基準
体育・部活動
WBGT31以上は原則中止。室内でも、体育館はガラス窓からの日射でWBGTが屋外より高くなることがある。 練習場のWBGT計測(5,000〜15,000円程度の熱中症指数計)の常時設置が望ましい。
プール
水中は涼しく感じても、プールサイドのコンクリートはWBGT35を超えることがある。 授業前後に日陰で休憩、こまめな水分補給を確保。塩素のにおいで気分が悪くなる子もいる。
登下校
ランドセル・リュックを背負い長時間歩く。アスファルトの照り返しで体感温度が大きく上がる。 日傘・帽子の常用、給水ボトル携帯、WBGT31以上の日は集団下校・保護者送迎・短縮授業の検討。
運動会・体育祭
秋開催の自治体が増えている(9月下旬〜10月)。練習期間の夏休み明けが要注意。 テント・ミスト・経口補水液常備、保健委員・養護教諭の見回り、保護者の体調観察。
保育園・幼稚園の外遊び
未就学児は地面に近く、地面温度の影響を受けやすい。 WBGT28を超えたら水遊びに切替、31以上は外遊び中止・室内活動。 園庭・砂場での裸足遊びは、地面温度50℃以上で火傷リスク。
子ども特有のリスク
- 体温調節機能が未熟:汗腺が大人より少なく、皮膚からの熱放散が苦手。深部体温が上がりやすい
- 身長が低い:地面の照り返しを受けやすい。気温30℃でも、足元のアスファルトは50℃を超える
- 体表面積/体重比が大きい:環境から熱を吸収しやすい。少しの気温上昇で体温が上がる
- のどの渇きを訴えにくい:遊びに夢中で水分補給を忘れる。大人からの定期的な声かけが必要
- 症状を言葉にできない:未就学児・低学年は「気持ち悪い」「頭が痛い」とうまく言えない。顔色・元気のなさ・ぐったりの観察
車内放置の絶対禁止
JAF(日本自動車連盟)の実測テストでは、外気温35℃の日に車内に放置された車は、エンジン停止30分で車内温度45℃以上、ダッシュボードは70℃以上に達します。 窓を3cm開けても、温度上昇はほとんど変わりません。
- 「ちょっとだけ」「すぐ戻る」は絶対に通用しない。短時間でも子どもを車内に残さない
- 子どもが車内で寝てしまっていても、必ず連れ出す
- 保育園・幼稚園の送迎バスでの置き去り事案も毎年発生。乗降確認の徹底
- 近くで車内置き去りを見かけたら、ためらわず119番通報+車外から窓を割る判断もありえる(緊急避難として刑法37条の議論)
保護者ができる準備
- 朝食をしっかり食べさせる:朝食抜きで登校すると、体温調節に必要なエネルギーが不足
- 水分・塩分の用意:給水ボトルにスポーツドリンクか麦茶+少量の塩。経口補水液(OS-1など)を学校用カバンに1本
- 帽子・日傘:つばの広い帽子。日傘は小学校で許可されている自治体が増えている
- 濡れタオル・冷却グッズ:首に巻く冷却タオル、冷感スカーフ、氷嚢
- 前日の睡眠:寝不足は熱中症リスクが大幅に上がる。夏休み中も生活リズム維持
- 体調が悪い日は休ませる勇気:風邪気味・下痢・発熱の日に無理をさせると重症化リスク
学校・保育現場での対応チェックリスト
- WBGT計測機器の設置(運動場・体育館・校舎内)
- 暑さ指数の運動指針を職員会議で共有、判断者・連絡フローを明確化
- 養護教諭・保健委員の巡回と、保健室の冷房・経口補水液の常備
- 送迎バスの乗降確認、置き去り防止装置の義務化(2023年4月から認定こども園・幼稚園・保育所で義務化)
- 熱中症警戒アラート発表日は、体育・運動会・遠足・水泳の前日中止判断
- 緊急時は119番+保護者連絡。意識障害があれば躊躇せず救急要請