まず大前提 — 通常の育児休業給付金は67%/50%
雇用保険から支給される育児休業給付金は、雇用保険法61条の7により以下の率です。
- 育休開始から180日目まで:休業開始時賃金日額の67%(賃金月額の約2/3)
- 181日目以降:50%(賃金月額の約1/2)
「賃金日額」は休業開始前6ヶ月の総支給額(賞与を除く)÷180日。月給30万円なら賃金月額約30万円、67%なら月20万円、50%なら月15万円が雇用保険から振り込まれます。育休中は社会保険料も全額免除(後述)なので、手取り換算では給与時の70〜80%相当が現金で残る計算。
2025年4月新設「出生後休業支援給付金」とは
雇用保険法61条の8として2025年4月1日から施行された新給付。対象期間(最大28日分)について追加13%が上乗せされ、育児休業給付金と合わせて80%相当になります。
「80%=手取り10割相当」と言われるのは、給与には所得税・住民税・社会保険料がかかるため、額面の8割でも手取りに換算するとほぼ同等になる計算。さらに育休中は社会保険料が免除されるため、可処分所得の差はほぼゼロになります。
落とし穴 — 「両親が14日以上育休を取る」が必須
この80%給付の最大の見落としポイントは、対象になる条件です。
- 子の出生後8週間以内(女性は産後休業終了後8週以内)に育児休業を取得
- 本人と配偶者の両方が14日以上の育休を取得
- 上記期間内の最大28日分のみ対象
つまり「父親が一切育休を取らない夫婦」「ひとり親家庭」は、母親側だけ取っても13%上乗せはもらえません。従来通り67%のみ。「育休中は8割」報道だけ見て家計設計するとずれるので注意。
産後パパ育休(出生時育児休業)との合わせ技
男性側で出生後休業支援給付金80%を最大限活用する典型パターンは、産後パパ育休(出生時育児休業)を使うこと。
- 出生後8週以内に最大28日(4週間)まで取得可能(育介法9条の2)
- 2回まで分割可能
- 労使協定があれば一定時間の就業も可
- 給付率は67%だが、出生後休業支援給付金で+13%=合計80%
「奥さんの産後体力回復期+新生児の夜泣き対応」の最も大変な時期に父親が28日休業、給付金80%でほぼ給与同等の手取りを確保、復職後に通常の育児休業へバトンタッチ、という設計が可能。
育休延長(1歳6ヶ月/2歳)の場合の給付
保育所に入れない等で育児休業を延長した場合、育児休業給付金も延長されます。ただし給付率は50%のまま(181日目以降は50%)。延長申請には保育所の入所不承諾通知書が必須なので、自治体の認可保育園申込締切から逆算してスケジュールを組む必要があります。
育休中の社会保険料免除
健康保険法159条/厚生年金保険法81条の2により、育児休業期間中は本人負担分も事業主負担分も全額免除。免除でも被保険者資格は継続し、将来の年金額の計算上は「払ったもの」として扱われるため不利益はありません。
この免除は自動ではなく、事業主が「育児休業等取得者申出書」を年金事務所に提出して初めて適用されます。育休に入ったら勤務先の人事に確認しましょう。