手軽屋
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6計算式の比較と精度

エプリー・ブルジツキー・オコナー・アダムズ・ベクル・ランダー、6式の出自と使い分け

1. エプリー式(1985年):最も普及している標準式

エプリー式(Epley formula)は1985年にBoyd Epleyが発表した推定式で、現在世界で最も広く使われています。計算式は「1RM = 挙上重量 × (1 + 反復回数/30)」。シンプルで覚えやすく、米国の大学体育会・NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)のテキストでも標準採用。Wikipediaの式比較チャートを見ると、反復回数1〜10回の範囲ではブルジツキー式とほぼ同じ値を返しますが、反復が10回を超えるとエプリー式の方がやや高めに出る傾向があります。本ツールはエプリー式を「標準」として表示し、控えめ寄りに見たい人にはオコナー式を併記する設計です。トレーニング歴3年以上で自分の限界回数を正確に把握できる人なら、エプリー式の推定値はかなり実測に近い数値になります。

2. ブルジツキー式(1993年):低反復で精度が高い

ブルジツキー式(Brzycki formula)は1993年にMatt Brzyckiが発表。計算式は「1RM = 挙上重量 × 36 / (37 - 反復回数)」。Wikipedia公式表の中でも特に「反復回数10回以下なら精度が高い」と評価される式です。エプリー式と非常に近い値を返しますが、反復回数2〜5回での挙動が安定しており、パワーリフター・競技ウェイトリフター・ボディビルダーなど、本気で1RMを実測する層が好んで使います。反復回数37回で分母がゼロになり計算不能になるという数学的特徴があるため、高反復向きではありません。本ツールは2〜10回入力を推奨範囲としており、ブルジツキー式は「精度を取りに行く時の参考値」として早見表で紹介しています。

3. オコナー式:控えめに出る安全側の式

オコナー式(O'Conner formula)は計算式「1RM = 挙上重量 × (1 + 反復回数/40)」で、エプリー式の分母30を40に置き換えた構造。同じ重量・回数を入れるとオコナー式の方が低い数値を返します。日本のジム・スポーツクラブで配布される「RM換算表」の多くがこのオコナー式(または近い式)に基づいており、過大評価を避けたい日本人の感覚にも合っています。トレーニング歴の浅い人・怪我明けで復帰中の人・補助者を確保しにくい人は、オコナー式の推定値を目安にしてセット重量を決めると安全側に振れます。本ツールはオコナー式とエプリー式を上下に並べて表示し、「2つの数値の間が現実的なレンジ」として捉えられるようにしています。

4. アダムズ式・ベクル式・ランダー式:研究と現場の式

アダムズ式は「1RM = 挙上重量 / (1 - 0.02 × 反復回数)」。高反復(10回以上)でも安定して動作する数学的構造を持ち、トレーニング初心者の高反復セットからの推定に向いています。ベクル式(Baechle formula)は「1RM = 挙上重量 × (1 + 0.033 × 反復回数)」で、NSCAの公式テキストに採用。エプリー式と数学的にほぼ同じ挙動(30の逆数 ≒ 0.033)ですが、係数のキリの良さから現場で使われます。ランダー式(Lander formula)は「1RM = 100 × 挙上重量 / (101.3 - 2.67123 × 反復回数)」と複雑ですが、運動生理学の研究論文で多用されており、論文の追試・データ比較で必要になります。一般トレーニーが日常使いするにはエプリー・ブルジツキー・オコナーの3式で十分です。

5. 種目別の精度差:BIG3で違う「当てやすさ」

Wikipedia英語版の Strength training 記事を踏まえると、1RM推定式の精度は種目(関与筋群の多さ)に依存します。①デッドリフト:背中・脚・体幹の大筋群が関与し、フォーム破綻が起きにくいため最も推定精度が高い、②スクワット:脚の大筋群中心で精度も高めだが、深さ(ATG vs パラレル)でフォーム判定が分かれて記録に差が出る、③ベンチプレス:胸・肩・三頭筋の中筋群中心で疲労による反復可能回数のブレが大きく、推定精度はBIG3で最も低い。ベンチプレスで5回しか挙げられないように見えても、補助者がいれば6回目が挙がる現象が起きやすく、これが推定値と実測値のズレを生みます。本ツールはどの種目にも同じ式を適用しますが、ベンチプレスの場合は推定値より少し控えめに見るのが現実的です。

6. 使い分けの実務指針

6式の使い分けを実務指針にまとめます。①初心者・怪我明け=オコナー式(控えめ)でセット重量を決める、②中級者で標準的なメニュー組み=エプリー式、③本気で1RM実測に挑戦=ブルジツキー式で2〜5回データから推定、④高反復(12回以上)から推定したいとき=アダムズ式、⑤NSCAテキストや公式資料の値と合わせたい=ベクル式、⑥研究論文・データ比較=ランダー式。本ツール(1RM計算)はオコナー式(控えめ)とエプリー式(標準)を併記する設計なので、初心者から中級者までこの2式の値を見ていれば実用上問題ありません。本気で実測するときだけブルジツキー式を別途参照してください。

手軽屋ツール実践手順

  1. 限界まで挙げた重量と回数を控えておく(2〜10回が推奨範囲)
  2. 1RM計算に重量と回数を入力
  3. オコナー式(控えめ)とエプリー式(標準)の2値を確認
  4. 初心者・怪我明けはオコナー式、中級者以上はエプリー式を基準に
  5. 1RM%別セット重量表で次回のメニュー重量を決定
  6. 2週間後に同じ条件で再測定し、伸び率を確認

関連ツール

参照: Wikipedia英語版「One-repetition maximum」公式式表Wikipedia英語版「Strength training」Wikipedia「ウエイトトレーニング」