手軽屋
ツール一覧

国民健康保険の賦課限度額 令和8年度(2026年度)110万円へ|引き上げの理由・推移・上限に達する年収

2026年6月27日更新(厚生労働省・第205回社会保障審議会医療保険部会 資料/こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度の一次資料で確認済み)

この記事の独自ポイント

先に結論

令和8年度の賦課限度額は「合計110万円」

国民健康保険料(税)には、所得が高い世帯でも一定額で頭打ちになる「賦課(課税)限度額」という上限があります。令和7年11月27日の社会保障審議会医療保険部会で示された方針により、令和8年度は医療分の基礎賦課分が66万円から67万円へ1万円引き上げられ、合計の上限が109万円から110万円になりました。引き上げ対象は基礎賦課分だけで、後期高齢者支援金分と介護納付金分は据え置きです。

区分令和7年度令和8年度増減
医療分のうち 基礎賦課分66万円67万円+1万円
医療分のうち 後期高齢者支援金分26万円26万円据え置き
医療分(計)92万円93万円+1万円
介護納付金分(40〜64歳)17万円17万円据え置き
合計(賦課限度額)109万円110万円+1万円

※ 介護納付金分は40〜64歳の介護保険第2号被保険者がいる世帯のみ加算されます。介護分の対象者がいない世帯は、医療分の93万円が上限になります。

賦課限度額の推移(毎年いくら上がってきたか)

賦課限度額は近年ほぼ毎年引き上げられています。平成20年度に68万円だった合計額は、令和8年度には110万円。約18年で42万円上がった計算です。直近の合計額の推移は次のとおりです。

年度医療分(計)介護分合計
令和元年度80万円16万円96万円
令和2年度82万円17万円99万円
令和3年度82万円17万円99万円
令和4年度85万円17万円102万円
令和5年度87万円17万円104万円
令和6年度89万円17万円106万円
令和7年度92万円17万円109万円
令和8年度93万円17万円110万円

※ 出典:厚生労働省 第205回社会保障審議会医療保険部会 資料3「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」。医療分(計)=基礎賦課分+後期高齢者支援金分。過去20年間の1回あたりの引き上げ幅は最大で4万円とされています。

なぜ令和8年度に引き上げられたのか

厚生労働省の資料によると、令和8年度は限度額(合計額)を超える世帯の割合が引き上げ前で1.45%だった一方、医療分の基礎賦課分だけを見ると超過世帯割合が1.7%を超えていました。区分ごとのばらつきを整える観点から、突出していた基礎賦課分を1万円引き上げ、超過世帯割合を1.43%に抑える調整が行われました。後期支援金分・介護分は超過割合がそこまで高くなかったため据え置かれています。

背景には「社会保障改革プログラム法」があります。会社員などの被用者保険(協会けんぽ・健保組合)では、いちばん高い標準報酬月額に該当する人の割合が0.5〜1.5%になるよう法律で決まっています。国保もこの考え方とのバランスをとり、限度額を超える世帯がおおむね1.5%に近づくよう段階的に引き上げる方針が続いています。保険料率だけを上げると中間所得層の負担が重くなるため、高所得層が負担する上限を引き上げて中間層に配慮する、という狙いもあります。

賦課限度額に達するのはどんな世帯か

「上限110万円」と聞くと身近に感じにくいかもしれませんが、これはかなりの高所得世帯のラインです。厚生労働省の試算(単身世帯・令和5年度の全国平均的な料率で計算)では、令和8年度に医療分の限度額に達する目安は次のとおりです。

収入の種類令和7年度の目安令和8年度の目安
給与収入約1,160万円約1,170万円
給与所得約970万円約980万円
年金収入約1,160万円約1,170万円
年金所得約970万円約980万円

限度額を1万円引き上げたことで、上限に張りつくラインも給与収入ベースで約10万円分高くなりました。これは「高所得世帯は所得が増えた分だけもう少し負担する」方向の調整です。なお、これは単身世帯の目安で、世帯人数が増えると均等割が加わるぶん、より低い所得でも上限に達しやすくなります。自営業・フリーランスで所得が大きい方や、不動産所得・譲渡所得が重なった年は、この上限に達するケースが出てきます。

令和8年4月から始まる「子ども・子育て支援金」

令和8年度のもう一つの大きな変化が、令和8年4月分から始まる「子ども・子育て支援金」です。少子化対策(加速化プラン)の財源として、医療保険料とあわせて全世代から拠出する仕組みで、国保の場合は保険料に上乗せして徴収されます。こども家庭庁の試算では、加入者の負担の目安は次のとおりです。

国民健康保険

一世帯あたり平均で月額約300円。実際の額は市町村の条例で、世帯や個人の所得などに応じて決まります。

被用者保険(会社員など)

令和8年度の支援金率は0.23%、被保険者一人あたり平均で月額約550円。負担の半分は会社が持ちます。

後期高齢者医療制度

被保険者一人あたり月額約200円が目安です。

注意したいのは、この子ども・子育て支援金は、前述の賦課限度額110万円には含まれていない点です。令和8年度は子育て支援金分が新しい区分として加わりますが、その課税限度額は令和8年度の予算編成過程で総額が決まった上で別途設定されます。つまり高所得世帯では、医療・介護の110万円とは別に支援金分の負担が乗るかたちになります。年度途中で各自治体の決定通知書を確認するのが確実です。

賦課限度額と「軽減(7割・5割・2割)」は別物

国保の用語でよく混同されるのが、賦課限度額と軽減です。両者は正反対の方向の調整なので、整理しておきます。

項目賦課限度額軽減(7・5・2割)
対象所得が高い世帯所得が低い世帯
役割保険料に上限をかける均等割を減額する
令和8年度の数値合計110万円7割・5割・2割を所得で判定
全国一律か一律(政令で決定)判定基準は一律・料率は自治体差

高所得側の天井が賦課限度額、低所得側の負担緩和が軽減です。自分の世帯がどちらに該当するか分からないときは、まず国民健康保険料の計算ツールで概算額を出してみると、上限に近いのか軽減の範囲なのかの見当がつきます。

自治体で金額が違うのは「料率」で、上限は全国共通

「同じ年収なのに、引っ越したら国保が高くなった/安くなった」という話はよくあります。これは均等割額や所得割率が市区町村ごとに違うためで、医療費水準・所得水準・加入者の年齢構成が地域で異なることが理由です。一方、賦課限度額(令和8年度110万円)は国が政令で定める全国一律の上限なので、どの自治体でも変わりません。違うのは「料率」、共通なのは「上限」と整理できます。

なお令和6年度から、都道府県が標準保険料率を示して市区町村が決定する「都道府県単位化」が進んでおり、自治体ごとの料率の上下幅は徐々に縮小する方向です。東京23区のように特別区統一料率を採用している地域では、区が違っても同じ料率になります。

よくある質問

Q1. 令和8年度の国保の上限額はいくらですか?

合計110万円です。医療分93万円(基礎賦課分67万円+後期高齢者支援金分26万円)+介護納付金分17万円。令和7年度の109万円から、基礎賦課分が1万円引き上げられました。

Q2. なぜ毎年のように上がるのですか?

社会保障改革プログラム法にもとづき、限度額を超える世帯の割合が1.5%に近づくよう段階的に引き上げる方針があるためです。被用者保険の最高等級該当者の割合(0.5〜1.5%)とのバランスを取っています。

Q3. 上限に達するのは年収いくらですか?

厚労省試算(単身世帯)で、令和8年度は給与収入で約1,170万円が目安です。世帯人数が多いほど、より低い所得でも上限に達しやすくなります。

Q4. 子ども・子育て支援金で国保はいくら上がりますか?

令和8年4月分から、国保では一世帯あたり平均で月約300円が上乗せされます(実額は市町村条例で所得等に応じて決定)。これは賦課限度額110万円とは別建てです。

Q5. 賦課限度額と軽減はどう違いますか?

賦課限度額は高所得世帯の保険料に上限をかける仕組み、軽減(7・5・2割)は低所得世帯の均等割を減らす仕組みです。高所得側の天井と低所得側の緩和で、正反対の調整です。

Q6. 自治体によって上限額は違いますか?

上限額は全国一律で、令和8年度はどこでも合計110万円です。違うのは均等割額や所得割率(自治体差)であって、上限額そのものは共通です。

Q7. 介護分・後期支援分の上限も上がりましたか?

いいえ。令和8年度に上がったのは医療分の基礎賦課分(66万→67万円)だけで、後期高齢者支援金分26万円・介護納付金分17万円は据え置きです。

Q8. 自分の世帯の正確な保険料はどこで分かりますか?

賦課限度額は上限の話なので、実際の額は世帯人数・前年所得・自治体の料率次第です。手軽屋の国保計算ツールで概算を出すか、自治体が郵送する保険料決定通知書・国保窓口でご確認ください。

自分の世帯はいくら? 上限に近いか確かめる

世帯人数と前年所得を入れるだけで、国民健康保険料の年額・月額の目安を表示します。

国民健康保険料の計算を使う

関連する制度ツール

出典(一次情報・2026年6月確認)

本記事の賦課限度額・推移・超過世帯割合・上限に達する収入の試算は、厚生労働省 第205回社会保障審議会医療保険部会(令和7年11月27日)の資料に基づきます。賦課限度額は政令・地方税法施行令で定められ、実際の保険料率・軽減判定は市区町村によって異なります。最終的な金額はお住まいの自治体の保険料決定通知書または窓口でご確認ください。