親子の血液型「ありえる/ありえない」全15通り早見表
メンデル遺伝の原則とまれな例外(シスAB型・ボンベイ型・Weak D)を踏まえ、「家族関係を疑う前に確認すべきこと」を整理します。
ABO式・全15通りの早見表
両親のABO血液型の組合せは順序を除くと15通り。それぞれに対し「子に生まれうる血液型」を整理します。
| 両親 | 子に生まれうる血液型 | 生まれない血液型 |
|---|---|---|
| A×A | A / O | B / AB |
| A×B | A / B / AB / O(全可) | なし |
| A×O | A / O | B / AB |
| A×AB | A / B / AB | O |
| B×B | B / O | A / AB |
| B×O | B / O | A / AB |
| B×AB | A / B / AB | O |
| O×O | O のみ | A / B / AB |
| O×AB | A / B | O / AB |
| AB×AB | A / B / AB | O |
※確率は両親の遺伝子型が等確率と仮定した目安。詳細は血液型の組み合わせツールで算出可能。
「ありえない」と感じたときの確認手順
家族の血液型に違和感があっても、家族関係を疑う前にまず以下を順に確認してください。早見表から外れる原因の多くは医学的に説明できます。
- ・①検査時期の確認:新生児期の検査は確定診断ではない。母子手帳の記載は参考値の場合あり
- ・②再検査:1〜2歳以降に再検査で確定診断
- ・③両親の確定検査:両親も含めて再検査。両親の血液型が記憶違いのケースは少なくない
- ・④稀型のチェック:シスAB型・ボンベイ型などまれな型の可能性を医療機関で確認
- ・⑤Rh血液型亜型:Weak D・Partial Dなどの亜型では通常の検査でRh−判定になることも
- ・⑥遺伝子検査:DNA鑑定でAA/AOなど遺伝子型レベルの判定が可能
- ・⑦親子鑑定の必要性:血液型だけでは親子関係は否定できない。確定にはDNA鑑定が必要
- ・⑧医療機関への相談:気になる場合は血液内科・大学病院の輸血部門に相談
シスAB型・ボンベイ型などの稀型例外
通常のメンデル遺伝の表に当てはまらない「例外」の代表例。日本での発見数や輸血現場での影響を整理します。
- ・シスAB型:A・B遺伝子が同じ染色体(cis)上にある稀型。日本人で約10万人に1人
- ・シスAB型の遺伝:AB遺伝子のセットで子に伝わるため、シスAB×O型からAB型の子が生まれる
- ・シスAB×AB型:理論上O型の子が生まれる(通常のAB×ABではありえない)
- ・ボンベイ型(Hh型):H抗原が欠損しているためA・B抗原も発現できず、検査上はO型と判定
- ・ボンベイ型の発見:1952年インド・ボンベイ(現ムンバイ)で報告。世界で約100万人に4人
- ・ボンベイ型の遺伝:見た目O型の親同士からA型・B型・AB型の子が生まれることがある
- ・パラボンベイ型:H抗原が弱い亜型。日本にも報告例
- ・輸血の困難さ:ボンベイ型は同型輸血のみ可能。日赤の希少血液登録制度で管理
Rh血液型の例外と検査誤判定
Rh式血液型でも亜型による検査誤判定がしばしば見られます。Rh−同士からRh+の子が生まれた場合の原因を整理します。
- ・Weak D:D抗原が通常より少ない型。通常の検査でRh−と判定されがち
- ・Partial D:D抗原の一部が欠損。一見Rh+だが、抗D抗体産生のリスクあり
- ・Del型:D抗原が極微量。日本人Rh−の半数以上がDel型ともいわれる
- ・−D−:CcEe抗原が欠損し、Dのみ持つ極めて稀な型
- ・遺伝の例外:母Weak D×父Rh−から「Rh+」の子が生まれることがある
- ・輸血現場の対応:分子生物学的検査でD遺伝子の有無を確認
- ・妊娠管理:Weak Dの妊婦は抗Dグロブリン投与の対象となることがある
- ・遺伝子検査の普及:従来の凝集反応だけでなく遺伝子レベルの検査が普及中
親子鑑定と血液型の限界
血液型は親子関係を「肯定」する根拠にはなりません。否定の参考にはなりますが、確定には DNA鑑定が必須です。
- ・血液型の精度:ABO×Rhだけで親子鑑定の正確性は数十%レベル。確定診断には不十分
- ・DNA鑑定の精度:STR(短鎖反復配列)を15座以上調べると99.9999%以上の精度
- ・法的な親子鑑定:日本では裁判所提出用の鑑定書は専門機関が発行(5〜10万円)
- ・市販キット:自宅で採取してオンライン鑑定(2〜5万円)。法的効力はないが目安に
- ・胎児期のNIPT:母血中の胎児DNAで遺伝学的検査が可能(医療機関)
- ・慎重な扱い:親子鑑定は家族関係に大きな影響を与える。専門カウンセリング併用が望ましい
- ・輸血現場の再検査:医療機関では輸血前に必ず本人の血液を再検査(クロスマッチ)
- ・母子手帳の限界:母子手帳の血液型記載は参考程度。本人の確定検査は学校入学前後や献血時に