ABO式血液型はどう伝わる?親→子の6遺伝子型を図解
A型同士でもO型の子が生まれる理由、AB型×O型でAB型もO型も生まれない仕組み。メンデルの法則と6遺伝子型で整理します。
ABO式血液型は遺伝子型では6種類
ふだん「A・B・AB・O」と呼んでいる血液型は、遺伝子レベルでは6パターンに分かれます。ここを押さえれば親子の血液型がスッキリ説明できます。
- ・AA:父からA、母からAを受け取った純粋なA型(ホモ接合)
- ・AO:A遺伝子とO遺伝子を1つずつ持つ。見た目はA型(AがOより顕性)
- ・BB:BとBを持つ純粋なB型
- ・BO:B遺伝子とO遺伝子。見た目はB型
- ・AB:AとBを1つずつ。A・Bともに発現してAB型
- ・OO:OとO。O型は両親から必ずO遺伝子をもらった結果
- ・抗原のしくみ:A抗原はN-アセチルガラクトサミン、B抗原はN-アセチルガラクトース。O型はどちらの抗原もない
- ・発見年:1900年、オーストリアのカール・ラントシュタイナーが命名(ノーベル賞)
メンデルの法則で親→子の伝わり方が決まる
1865年にグレゴール・ヨハン・メンデルがエンドウ豆で発見した遺伝の3法則(分離の法則・独立の法則・顕性の法則)は、人間のABO血液型にもそのまま当てはまります。
- ・分離の法則:両親はそれぞれ2つの遺伝子のうち1つだけを子に伝える
- ・独立の法則:ABO血液型は他の遺伝形質(髪・目の色など)と独立して伝わる
- ・顕性の法則:AはOより顕性、BはOより顕性、AとBは共顕性(どちらも発現)
- ・遺伝子の選択は確率:AO型の親はAを50%・Oを50%の確率で子に伝える
- ・表現型と遺伝子型:見た目(表現型)はA型でも、遺伝子型はAAかAOのどちらか
- ・祖父母の血液型:両親がAOかAAかは祖父母の血液型で推定可能
- ・融合説の否定:かつての「親の特徴が混ざる」説(融合説)はメンデルの粒子説に置き換わった
よくある組合せと子どもの血液型
実際の親子の組合せで「ありうる血液型」を整理します。両親の遺伝子型を等確率と仮定した目安です。
- ・A型×A型:A型 or O型。両親がAOどうしならOOの確率25%でO型の子も生まれる
- ・A型×B型:A・B・AB・O 全4種類が可能性あり。最も多様
- ・A型×O型:A型 or O型。父AAなら全員A型、父AOならA型50%・O型50%
- ・A型×AB型:A型・B型・AB型。O型は生まれない
- ・B型×O型:B型 or O型
- ・AB型×O型:A型 or B型のみ。AB型もO型も生まれない(重要!)
- ・AB型×AB型:A型25%・B型25%・AB型50%。O型は生まれない
- ・O型×O型:必ずO型。OO遺伝子しか伝えられない
- ・確率を試算する:血液型の組み合わせツールで親→子の確率を即算出
日本人の血液型分布と世界比較
日本人のABO血液型分布は世界的に見ても特徴的です。国ごとの分布を知ると、輸血ドナーの希少性や民族学的な背景が見えてきます。
- ・日本:A型約40%・O型約30%・B型約20%・AB型約10%。ほぼ均等で性格診断が好まれる土壌
- ・中南米:O型が80〜100%という地域も。アステカ・インカの先住民系
- ・北欧:A型が多い(45%前後)。フィンランド・ノルウェー
- ・中央アジア・モンゴル:B型が多い(25〜30%)
- ・アフリカ系米国人:O型多数(49%前後)
- ・世界全体平均:O型約44%・A型約40%・B型約10%・AB型約4%
- ・輸血ドナー需要:O型はあらゆる人に輸血可能なため貴重。日本の血液事業ではO型・Rh−が常に不足傾向
- ・移民・民族構成:シルクロード沿線にB型が多いのは中央アジア系の人口流入の名残
血液型の決定時期と母子手帳
日本では母子手帳に血液型を記入する欄がありますが、新生児期の検査は確定診断ではありません。検査タイミングと注意点を整理します。
- ・新生児の検査:抗体産生がまだ十分でないため確定診断ではない。「参考値」扱い
- ・1歳以降の検査:1〜2歳ごろから抗体が安定し、確定診断が可能
- ・母子手帳記載:書かない選択肢もある。確定検査は学校入学前後や献血時に
- ・過剰検査の問題:医療的に必要ない検査として、近年は新生児期のルーチン検査を推奨しない方針
- ・性格診断との関係:血液型性格診断は科学的根拠なし。子に血液型を伝える際は性格との結びつけを避けるのが推奨
- ・緊急輸血:実際の輸血現場では本人の血液を再検査する。母子手帳の記載は緊急時の参考程度
- ・稀型の発見:シスAB型・ボンベイ型などは確定検査時に判明することが多い
- ・遺伝子検査:DNA検査でAA/AO/BB/BOの遺伝子型まで判別可能(医療機関で実施)