給与所得の源泉徴収税額表|甲欄・乙欄・丙欄の使い分け
給与・賞与の源泉徴収は、報酬・料金の10.21%とは別ロジックの「税額表」で計算します。3種類の税額表と3つの欄の使い分けを、国税庁No.2511にもとづいて整理します。
1. 税額表は3種類
給与・賞与の源泉徴収には次の3つの税額表があります(国税庁No.2511)。
- ・月額表:毎月支払う給与(月給・月給制)に使用
- ・日額表:日々支払う給与・週給・短期労働に使用
- ・賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(賞与算出率表):賞与(ボーナス)に使用
月額表と日額表は「給与額」と「扶養親族等の数」の交点で源泉徴収税額が決まります。賞与算出率表は「前月の給与額」と「扶養親族等の数」から税率を決め、賞与額に掛け算します。
2. 甲欄・乙欄・丙欄の使い分け
各税額表には「甲欄」「乙欄」「丙欄」があり、従業員の状況によって使い分けます。
- ・甲欄:扶養控除等(異動)申告書を提出した人。本業の勤務先で使う。
- ・乙欄:扶養控除等申告書を提出していない人。副業・掛け持ちの2社目以降。
- ・丙欄:日雇賃金(日々雇い入れられる労働者)。日額表専用。
扶養控除等申告書は「同一年に2社以上に提出してはならない」と定められており、本業の会社に提出すると副業先には提出できません。副業先では乙欄が適用され、給与額に対する源泉徴収率が高くなります(甲欄より3〜5倍高い場合もある)。
副業の年末調整は本業の会社でしか行えないため、副業の源泉は確定申告で精算します。乙欄で多めに引かれていれば還付、不足していれば追加納付です。
3. 社会保険料控除後の給与に当てはめる
税額表に当てはめる給与は「社会保険料控除後の金額」です(国税庁No.2511)。月給30万円・社保4.5万円なら、税額表で見るのは255,000円の行です。
順番は ①総支給額(基本給+手当+通勤費の非課税分超過) → ②社会保険料控除(健康保険・厚生年金・雇用保険) → ③社会保険料控除後の金額を税額表に当てはめて源泉徴収税額を決定。
通勤手当は月15万円までは非課税(所得税法施行令20条の2)で、税額表に当てはめる前に差し引きます。家族手当・住宅手当・残業手当は課税対象で、総支給額に含めます。
4. 賞与の源泉徴収(前月給与の10倍超は月額表)
賞与の源泉徴収は「賞与算出率表」で行います。前月の社会保険料控除後の給与を縦軸、扶養親族等の数を横軸として、賞与に乗じる税率(0.000〜45.945%)が決まります。
ただし、次の2つのケースでは賞与算出率表ではなく月額表を使います。
- ・前月に給与の支払いがない場合:賞与額から社保等を引き、その6分の1を月額表に当てはめて税率を決定(または賞与の支給対象期間が6か月超の場合は12分の1)。
- ・賞与額が前月給与の10倍を超える場合:同上のロジック(月額表ベース)で算出。
年俸制の社員に夏冬ボーナスを年俸に含めず支給するケースや、入社初年度の冬ボーナスなどでこの「10倍超ルール」が発動します。
5. 報酬・料金の10.21%とは別ロジック
税額表は「給与所得」(雇用関係あり・所得税法28条)の源泉徴収で使い、報酬・料金(業務委託・所得税法204条)の源泉徴収には使いません。
- ・給与・賞与:税額表(月額表・日額表・賞与算出率表)で個別に税額を決定
- ・報酬・料金:定率源泉(10.21%/100万円超20.42%)
- ・退職金:退職所得控除+1/2課税(国税庁No.2725)
フリーランスから法人成りした人は、自分への役員報酬を「給与」として税額表で源泉徴収する必要があります。原稿料感覚で10.21%を引いていると過少徴収になることがあるので、給与計算は税額表を基準にしてください(甲欄/本人+扶養 0人で月給30万円なら月額表で約6,750円が源泉)。
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