あみだくじは本当に公平か?数学が示す偏りと対策
Wikipedia「あみだくじ」の数学的性質+実用上の対策
「あみだくじは結果が必ず1対1に対応するから公平だ」とよく言われます。これは事実で、参加者と結果の対応で重複は起きません。ただし「全員が同じ確率で各結果に当たる」かというと、これは別の問題で、Wikipedia「あみだくじ」によれば一般的に成立しません。本記事では、なぜ偏りが起きるのか、どのくらいの横線本数が必要かを解説します。
1. 「重複しない」は数学的に保証される
あみだくじは数学的には「置換(permutation)」の操作です。縦線nに対し、横線1本は隣り合う2本を入れ替える操作(互換)に対応し、横線が何本連なっても、これらの合成は依然として置換です。置換は1対1対応なので、参加者i は必ずどこか1か所の結果にたどり着き、しかも別の参加者と同じ結果になりません。これは横線の本数や位置によらず常に成り立ちます。
2. それでも「真下」が当たりやすい理由
「重複しない」と「均等」は別物です。横線をランダムに引くとき、参加者i のスタート位置から見ると、横線を1本通るたびに左右どちらかへ1だけ動きます。これは1次元ランダムウォークと同じ構造で、ステップ数が少ないうちは出発点付近に居座る確率が高くなります。
つまり、横線が少ないあみだくじでは、自分の真下にあるくじを引き当てる確率が高くなり、遠い位置のくじを引き当てる確率は低くなります。Wikipedia「あみだくじ」もこの傾向を「真下のくじが当たりやすい」と明記しています。
3. どれくらいの横線本数が必要か
Wikipedia「あみだくじ」では、N人のあみだくじが十分にシャッフルされるためには N(N-1)² 本程度の横線が必要と紹介されています。具体的にはこんなイメージです。
- 2人:1×1²=1本でほぼ均等(横線あり/なしで上下入れ替えるかどうか)
- 3人:3×2²=12本程度
- 5人:5×4²=80本程度
- 8人:8×7²=392本程度
- 12人:12×11²=1452本程度
紙のあみだくじで「5人で横線10本」は明らかに少ないので、真下のくじに偏ります。「12人で2000本」は実用上は不可能なので、紙のあみだくじには本質的に偏りが残ります。
4. 偶奇性で「真下不可能」になることもある
横線の本数は置換の符号(偶置換か奇置換か)を決めます。横線が偶数本なら全員真下に進む「恒等置換」も可能ですが、横線が奇数本だと「全員が真下に進む」結果は不可能です(奇数回の互換は恒等置換にならない)。
この性質を逆手に取り、「全員が真下に行ったら必ず引き直し」というルールが暗黙に成立しているのは、横線本数を奇数で揃える簡単な対策とも言えます。
5. 本ツールでの偏り対策
あみだくじ(オンライン)では、人数に応じて十分な段数を用意し、1段あたり50%の確率で横線を引きます。12人でも 12×段数 程度の横線が引かれるため、紙のあみだくじよりは均等に近づきます。それでも厳密に均等ではないため、賞品当選など厳密な公平性が必要な場面では「ランダム抽選・順番決め」の方が適しています。