手軽屋
ツール一覧

固定残業代(みなし残業)の見抜き方|超過分は別途請求できる

「月給25万円・30時間分の固定残業代含む」を読み解けると、年収交渉の景色が変わります。

固定残業代は「先払い残業代」

固定残業代(みなし残業・残業代込み)は、月給の中にあらかじめ一定時間分の残業代を含めて支払う制度。残業時間が想定より少ない月でも満額が支払われる代わりに、想定時間を超えた月は超過分を別途支払う必要があります。労基法上の正式な制度ではないものの、判例で一定の要件を満たせば有効と認められています。

有効に成立する3要件(判例ベース)

  1. 明確区分性:基本給と固定残業代が明確に分離されている(給与明細・雇用契約書で金額・時間数が表示)。
  2. 差額支払の明示:想定時間を超えた残業代は別途支払うことが明示されている。
  3. 労基法37条の計算額以上:固定残業代額が想定時間×割増賃金額以上である(差額があれば追加支給)。

たとえば「月給25万円(30時間分の固定残業代5万円含む、超過分は別途支給)」のように、金額・時間数・超過支払の3点が雇用契約書または就業規則・賃金規程に書かれている必要があります。「営業職は残業代込み」のような曖昧な表記では無効と判断される可能性が高いです。

想定時間と実際の時間外で支給額がどう動くか

月給25万円(うち固定残業代5万円・30時間分)の場合、基本給20万円から基礎時給を出します(年間休日120日・1日8時間 → 月平均所定163時間と仮定)。

基礎時給 = 200,000円 ÷ 163時間 ≒ 1,227円
割増単価(25%)= 1,227円 × 1.25 ≒ 1,534円
30時間分 = 1,534円 × 30時間 ≒ 46,020円

固定残業代5万円なら46,020円を上回るので、30時間まではOK。31時間目以降は1時間ごとに1,534円が別途支給されないと違法です。

固定残業代が無効になりやすいケース

  • 金額・時間数が雇用契約書に書かれていない:「営業職は残業代込み」など曖昧な記載
  • 想定時間が不当に長い:月80時間など、過労死ラインを超える設定
  • 超過分の追加支給が行われていない:実態として「いくら残業しても月給固定」
  • 固定残業代の名目が頻繁に変動:手当の名前を変えて実質的な固定残業代の偽装
  • 深夜・休日割増の計算が含まれていない:固定残業代に深夜・休日分の言及がない

無効と判断されると、固定残業代部分も基本給に組み込まれて再計算されるため、未払い残業代が大きく膨らむことがあります。

面接で確認しておくべき質問

  • 「固定残業代の金額と想定時間数を教えてください」
  • 「想定時間を超えた残業代は別途支給されますか」
  • 「想定時間より残業が少なかった月でも固定残業代は満額支給ですか」
  • 「深夜・休日労働の割増は固定残業代に含まれていますか、別計算ですか」
  • 「直近3ヶ月の平均残業時間はどのくらいですか」

雇用契約書を交わす前に質問できる権利があります。質問に明確に答えられない会社は、入社後の運用も不透明な可能性が高いです。

本ツールで固定残業代を差し引いた手取りを試算

残業代計算で、固定残業代の金額と想定時間数から基本給を逆算し、実際の残業時間が想定を超えた場合の追加支給額が一目で分かります。手取り計算と組み合わせると、年収交渉のテーブル素材として使えます。

続けて読む