失業保険の「前」「中」「後」で別の制度を組み合わせる
失業保険(基本手当)は雇用保険の中心となる給付ですが、それ単体で完結するとは限りません。退職前・受給中・受給後の状況に応じて、教育訓練給付・職業訓練受講給付金・傷病手当・広域求職活動費・延長給付など、別の給付に切り替えたほうが得な場面が多くあります。
退職時の状況別・意思決定フロー
- 退職後にスキルアップしたい → 一般教育訓練給付(最大10万円)/特定一般(最大20万円)/専門実践教育訓練給付(最大年56万円・最大3年)。雇用保険被保険者期間3年以上(初回は2年以上)が条件。
- 長期離職で職業訓練を受けたい → ハローワークの公共職業訓練に申し込むと、基本手当の受給期間が訓練修了まで延長され(延長給付)、受講手当(日額500円・上限40日)・通所手当も加算。
- 雇用保険を受給できない(自己都合で被保険者期間不足など) → 求職者支援制度の「職業訓練受講給付金」(月10万円+通所手当)。雇用保険受給資格がない人向けのセーフティネット。
- 受給期間中に病気・けがで働けなくなった → 基本手当→「傷病手当」(基本手当と同額・最大1年6ヶ月)に切り替え。15日以上働けない状態が条件。
- 受給期間中に妊娠・出産・育児・介護で求職活動できない → 受給期間延長(最大3年)。給付自体は止まるが、復帰時に再開できる。
- 所定給付日数を使い切ったが再就職できない(特定地域・特定業種) → 個別延長給付(60日)・広域延長給付(90日)など。
教育訓練給付の3区分
| 区分 | 給付率 | 上限 | 代表的な対象講座 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20% | 10万円 | 英会話・MOS・簿記 |
| 特定一般教育訓練 | 40% | 20万円 | 大型自動車・宅建・ITパスポート |
| 専門実践教育訓練 | 最大80% | 年56万円×最大3年 | 看護師・保育士・専門職大学院 |
退職前から検討している場合、退職前のキャリアコンサルティングを受けることが「特定一般」「専門実践」の支給要件になっています。退職してからでは間に合わないので注意。
傷病手当と健保の傷病手当金は別物
紛らわしい用語ですが、雇用保険の「傷病手当」(求職中に病気で働けなくなった人向け)と、健康保険の「傷病手当金」(在職中に病気で働けなくなった人向け)は別制度です。
- 雇用保険の傷病手当:受給資格決定後に15日以上働けない状態が続いた場合に支給。日額・残日数は基本手当と同じ。
- 健康保険の傷病手当金:在職中に病気・けがで連続3日以上働けない状態が続いた場合、4日目以降から支給。日額の3分の2を最大1年6ヶ月。
傷病手当金は健康保険の傷病手当金計算で試算できます。退職後に傷病手当金を継続するには、退職時点で1年以上の被保険者期間が必要です。
基本手当の総額をまず見える化
周辺給付を組み合わせる前提として、まず失業保険の給付額計算で基本手当の総額・日数を確認しましょう。教育訓練給付や延長給付は、基本手当の日数・期間に直接かかる制度なので、ベースが把握できていないと判断ができません。