ヘボン式・訓令式・日本式の違い|令和7年改定の新内閣告示まで
パスポート申請ではヘボン式、小学校では訓令式、国際標準化ではISO 3602――場面ごとに使い分ける必要があります。令和7年12月22日に新たな内閣告示『ローマ字のつづり方』が公布され、約70年使われてきた昭和29年告示は同日廃止されました。新告示の趣旨と3方式の違いを整理します。
1. 3方式の歴史的背景
- ・ヘボン式:1867年、米国人宣教師J.C.ヘボンが和英辞典で採用。英語話者の発音感覚に合わせた表記
- ・日本式:1885年、田中館愛橘が考案。日本語の音韻体系を忠実に表現
- ・訓令式:1937年、内閣訓令で公布。日本式を簡素化したもの。1954年に内閣告示『ローマ字のつづり方』として再制定
- ・令和7年12月22日:新たな内閣告示『ローマ字のつづり方』(令和7年内閣告示第4号)が公布、昭和29年告示は同日廃止
2. 主要文字の対照表
代表的な「ヘボン式と訓令式・日本式で違う文字」:
- ・し:SHI(ヘボン)/SI(訓令・日本)
- ・ち:CHI(ヘボン)/TI(訓令・日本)
- ・つ:TSU(ヘボン)/TU(訓令・日本)
- ・ふ:FU(ヘボン)/HU(訓令・日本)
- ・じ:JI(ヘボン)/ZI(訓令・日本)
- ・しゃ・しゅ・しょ:SHA/SHU/SHO(ヘボン)/SYA/SYU/SYO(訓令・日本)
- ・ぢ:JI(ヘボン)/ZI(訓令)/DI(日本)
- ・づ:ZU(ヘボン)/ZU(訓令)/DU(日本)
- ・を:O(ヘボン)/O(訓令)/WO(日本)
訓令式と日本式の違いは「ぢ」「づ」「を」の3文字に集約されます。日常用途では訓令式と日本式はほぼ同じと考えてOKです。
3. 場面別の使い分け
- ・パスポート申請:外務省ヘボン式が必須(SHI/CHI/TSU/FU)
- ・クレジットカード・航空券:パスポートに合わせたヘボン式
- ・名刺・英語メール:ヘボン式が一般的(発音が伝わりやすい)
- ・道路標識・駅名標:ヘボン式(観光客向け)
- ・小学校教育:訓令式(規則性を学びやすい)
- ・国際標準化(ISO 3602):訓令式準拠
- ・地名のローマ字表記:国土地理院もヘボン式(観光地・住所表記)
4. 令和7年12月22日改定告示のポイント
約70年ぶりのローマ字つづり方告示改定です:
- ・旧告示の廃止:『ローマ字のつづり方』(昭和29年12月9日内閣告示第1号)は令和7年12月22日に廃止
- ・新告示の施行:『ローマ字のつづり方』(令和7年12月22日内閣告示第4号)が施行
- ・背景:文化審議会国語分科会の答申『改定ローマ字のつづり方』に基づく
- ・趣旨:パスポート・地名標識・国際表記など現代の実態に合わせ、ヘボン式を主軸とした体系へ転換
- ・移行措置:学校教育・既存表記には経過期間が設けられる見込み
外務省パスポートのヘボン式綴方表は、新告示とは独立した運用で従来通り継続されます。氏名表記の変更は不要です。
5. 同じ名前で方式が違うとどう書くか
例「しずか」(女性名):
- ・ヘボン式:SHIZUKA(パスポート・クレジットカード)
- ・訓令式:SIZUKA(小学校)
- ・日本式:SIZUKA(訓令式と同じ)
例「ちひろ」(男女兼用):
- ・ヘボン式:CHIHIRO
- ・訓令式:TIHIRO
- ・日本式:TIHIRO
6. 関連ツール・記事
- ・ローマ字変換(ヘボン式):パスポート申請用に自動変換
- ・パスポート申請のヘボン式特殊ルール
- ・名刺・英語メールでの名前のローマ字
- ・全角・半角変換:入力フォーム整形に