住宅ローンの返済方式
元利均等返済 vs 元金均等返済|借入4000万円35年1.5%で総返済額142万円差・どちらが向いている人
公開日 2026年6月15日 / 出典:住宅金融支援機構・全国銀行協会・各行公表値
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元利均等返済の仕組み|毎月返済額が一定、序盤の利息が多い
元利均等返済は、毎月の返済額(元金+利息)が完済まで一定になる返済方式です。日本の住宅ローンの9割以上がこの方式で組まれており、「住宅ローンの標準」と言えます。返済額が変わらないため家計の予算管理がしやすく、ボーナス減額・転職・育休・介護休業など収入が一時的に減るライフイベントに対しても返済プランが崩れにくい安定性があります。半面、序盤は返済額の大半が利息に充当され、元金がなかなか減らないという特性があります。
借入4,000万円・35年・固定金利1.5%(元利均等)のケースで具体的に見ると、毎月返済額は約12.24万円(年間146.9万円)で一定。初回返済では内訳が元金約7.24万円・利息5.00万円で、元金は18%・利息が82%を占めます。10年経過時点でも内訳は元金約8.42万円・利息3.82万円で、元金比率は68%まで上昇。20年経過時点でようやく元金が利息を逆転し、35年完済時には総返済額5,142万円(うち利息1,142万円)となります。初回〜10年で支払う利息は約540万円で、利息全体の47%を10年で支払う計算です。
「序盤の利息が多い」のは元金残高が大きい時に金利が掛かるためで、計算式は「月々返済額=借入額×月利×(1+月利)^返済月数÷((1+月利)^返済月数−1)」。一見複雑ですが、Excelの「PMT関数」で=PMT(0.015/12, 35*12, -40000000) と入力すれば一発で算出できます。住宅ローンの正式名称は「元利均等返済」で、英語ではFully Amortizing Payment、米国のFRM(Fixed Rate Mortgage)も同方式です。
元金均等返済の仕組み|毎月の元金返済が一定、序盤が重く後半が軽い
元金均等返済は、毎月の元金返済額が一定で、利息は元金残高に応じて減っていく方式です。「元金返済額=借入額÷返済月数」で固定し、それに残元金×月利を加えた金額がその月の返済額になります。借入4,000万円・35年・1.5%なら、毎月の元金返済は4,000万÷420ヶ月=約9.52万円で固定。利息は初回が4,000万×1.5%÷12=5.00万円、最終回は9.52万×1.5%÷12=約0.012万円。返済額は初回約14.52万円→最終回約9.53万円と、徐々に下がっていきます。
同条件で元金均等の総返済額は約5,000万円(うち利息1,000万円)。元利均等の5,142万円と比較すると142万円少なく、利息軽減効果が約12%大きい計算になります。これは元金が早く減ることで利息計算の母数が小さくなるためで、長期・高金利・大口借入になるほど差が広がります。例えば借入5,000万円・35年・2.0%なら元利均等6,956万円・元金均等6,755万円で201万円差、借入5,000万円・35年・3.0%なら元利均等8,082万円・元金均等7,629万円で453万円差。フラット35が3.21%まで上がった2026年6月時点では、元金均等の利息軽減メリットが昔より大きくなっています。
ただし元金均等返済は序盤の返済額が大きいため、銀行の審査では「初回返済額」をベースに返済比率を判定するケースが多く、借入可能額が元利均等より約10〜15%下がります。借入4,000万円・35年・1.5%・年収500万円なら、元利均等は月返済12.24万円で返済比率29%・審査通過ですが、元金均等は初回14.52万円で返済比率35%ぎりぎりとなり、年収500万円ではフラット35の返済比率上限35%にぶつかります。「借入可能額の上限まで借りたい人」は元利均等のほうが大きく借りられるという皮肉な特性があります。
元金均等を選べる金融機関は限定的|大手3行+ネット銀行
元金均等返済は利息軽減で有利な反面、扱っている金融機関が限られます。2026年6月時点で住宅ローンに元金均等を選べる主要金融機関は以下です。ただし「変動金利のみ元金均等対応で固定は元利均等のみ」「ネット申込は元利均等のみ・店頭申込は元金均等可」など、商品条件で制約があるケースが多いため、契約前に必ず確認してください。
- 三井住友銀行:変動・固定とも元金均等対応。WEB申込可。
- 三菱UFJ銀行:変動金利のみ元金均等対応。固定金利は元利均等のみ。
- みずほ銀行:店頭申込のみ元金均等可。WEB申込は元利均等限定。
- 横浜銀行:変動・固定とも元金均等対応。地方銀行で広く扱う代表例。
- 千葉銀行・常陽銀行・静岡銀行など地方銀行:多くは元金均等対応。
- 住信SBIネット銀行・auじぶん銀行:ネット系の中では珍しく元金均等対応。
- イオン銀行:元金均等対応。商品ラインアップで選択可。
- フラット35(住宅金融支援機構):元利均等のみ。元金均等は不可。
ネット銀行で元金均等を扱っていないのは「変動金利の5年ルール・125%ルール」との相性が悪いためです(5年間返済額据置・見直し時125%上限のルールは元利均等を前提)。フラット35が元金均等を扱わないのも同様の理由で、長期固定金利を前提とした「返済額の確実性」を最優先する制度設計のため。元金均等を希望する場合は、変動金利・大手都銀(三井住友・三菱UFJ)または地方銀行を中心に検討するのが現実解です。
ペアローン・収入合算で組む場合、夫婦で返済方式を別々にすることは原則できず、同じローン契約内では1方式に統一されます。ペアローンは夫婦それぞれ別契約のため、夫は元利均等・妻は元金均等という組み合わせも可能ですが、金融機関がペアローン契約として一括処理する場合は確認が必要です。
向いている人の判別フロー|退職前完済・教育費・収入安定性
元利均等と元金均等のどちらを選ぶかは、ライフイベントと収入安定性の組み合わせで決まります。次の判別フローを参考に検討してください。
元金均等が向く人:(1)40代以降の購入で退職前完済を目指す。元金均等は序盤の返済額が大きい代わりに、25〜30年経過時点で月々返済が初回の70%程度まで下がるため、定年後の年金生活と返済の重なりが少ない。(2)共働き世帯で序盤は2馬力、後半はメイン稼ぎ手が定年・転職予定。序盤の返済余力を活かして利息軽減し、後半の負担を下げる戦略。(3)子供がまだ小さく、教育費の山(高校〜大学=購入後10〜20年後)に向けて月々返済を減らしておきたい。(4)長期借入・高金利(3%超)・大口借入(5,000万円超)で、利息軽減効果のスケールメリットを取りたい。
元利均等が向く人:(1)30代前半の購入で、序盤の手取りがまだ少なく月々返済を抑えたい。子供が生まれて配偶者が育休・時短勤務に入る可能性も含めて、返済額の固定性を優先。(2)借入可能額の上限ぎりぎりまで借りたい。元金均等は初回返済額で返済比率を判定するため借入上限が下がる。(3)フラット35を使いたい。フラット35は元利均等のみ。(4)転職・独立予定があり収入変動リスクが高い。返済額の固定性で家計予算が立てやすい。(5)変動金利を選び、5年ルール・125%ルールの安心感を重視する。
「迷ったら元利均等」というのが実務の標準回答です。日本の住宅ローン契約者の9割が元利均等を選んでおり、ライフプランが想定通りに進まないケース(転職・育休・介護)への耐性が高いためです。利息軽減効果142万円(4,000万・35年・1.5%)も、35年完済時点での総額で見ると2.8%の差で、それより金利交渉・繰上返済タイミング・住宅ローン控除の使い方のほうが影響が大きいケースが多くあります。本ツール(/jutaku-loan/)で借入額・金利・期間を入れて、両方式の月々返済・総返済額を比較してから決めるのがおすすめです。
この記事の要点
- ・元利均等は毎月返済額一定、元金均等は毎月の元金返済が一定で返済額が逓減。
- ・借入4000万円35年1.5%で元利5,142万円・元金5,000万円、142万円差。
- ・元金均等の初回返済は元利均等の118%相当、最終回は74%相当まで下がる。
- ・元金均等を扱う銀行は限定的(三井住友・三菱UFJ・地方銀行・住信SBIなど)。フラット35は不可。
- ・退職前完済・教育費の山対策・大口借入は元金均等、収入変動リスクと借入上限重視は元利均等。
よくある質問
Q. 元金均等にすると住宅ローン控除はどう変わりますか?
A. 住宅ローン控除は「年末ローン残高×0.7%」なので、元金が早く減る元金均等は、控除額が早く減ります。借入4,000万円・35年・1.5%・ZEH住宅(限度額3,500万円)のケースで、元利均等の13年累計控除は約254万円、元金均等は約234万円で、約20万円少なくなります。利息軽減142万円から控除減少20万円を差し引いた純効果は約122万円。それでも元金均等のほうが得ですが、「控除減少」の数字も認識しておくと判断材料になります。
Q. 途中で元利均等から元金均等(またはその逆)に変更できますか?
A. 多くの金融機関では「返済方式の変更は原則不可」です。変更したい場合は借り換え(別の銀行で新規借入し既存を完済)が現実的な選択肢ですが、借り換えには事務手数料・登記費用・印紙税で50〜100万円かかります。借入残高が大きく金利差で取り返せる場合のみ意味があるため、契約時に返済方式をしっかり選ぶことが重要です。一部のネット銀行(住信SBIネット銀行など)は条件付きで返済方式変更を認める例外もあるため、契約前に「将来変更可能か」を確認しておくと安心です。
Q. ボーナス併用払いも元利均等・元金均等で選べますか?
A. ボーナス併用払いは元利均等・元金均等のどちらでも選べますが、運用が異なります。元利均等のボーナス併用は「ボーナス月のみ毎月返済額に上乗せ(一定額)」で年2回のボーナス時に多めに払う方式。元金均等のボーナス併用は「ボーナス月に元金を多めに返済」する方式で、その後の月々返済が下がります。ボーナス比率は借入額の40%〜50%が上限のことが多く、コロナ禍以降「ボーナスが想定より減った」「ボーナスがなくなった」ケースで返済破綻のリスクが高い方式です。住宅金融支援機構の調査でも、近年はボーナス払いを使わない契約者が増えており、安全策としては「ボーナス併用なし」を推奨します。