1. 不動産売買契約書は「第1号文書」
印紙税法別表第一の第1号文書は「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書」「地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書」「消費貸借に関する契約書」「運送に関する契約書」の4区分の総称です。一般的な不動産売買契約書はこの第1号の1(不動産の譲渡に関する契約書)に該当し、契約金額(売買代金)に応じて段階的に印紙税が課されます。土地の売買、建物の売買、土地と建物を一括譲渡する場合、いずれも第1号文書として扱われます。注意したいのは「契約書」に対する課税であり、領収書(第17号文書)や請負契約書(第2号文書)とは別扱いになる点です。
2. 本則税額の段階表(国税庁No.7140)
第1号文書の本則税額は次の通り。1万円未満は非課税、10万円以下200円、50万円以下400円、100万円以下1,000円、500万円以下2,000円、1,000万円以下10,000円、5,000万円以下20,000円、1億円以下60,000円、5億円以下100,000円、10億円以下200,000円、50億円以下400,000円、50億円超600,000円、契約金額の記載のないもの200円。例えば3,500万円の土地売買契約書なら本則税額は20,000円。これだけでも住宅取引としては大きな負担です。1億円を超える売買では本則税額が60,000円〜600,000円まで跳ね上がるため、契約規模によって印紙税負担は大きく変動します。
3. 軽減税率(コードNo.7108)の対象期間と適用税額
国税庁No.7108「不動産譲渡契約書の印紙税の軽減措置」により、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成された契約金額10万円超の不動産譲渡契約書は軽減税率が適用されます。軽減後の税額: 50万円以下200円、100万円以下500円、500万円以下1,000円、1,000万円以下5,000円、5,000万円以下10,000円、1億円以下30,000円、5億円以下60,000円、10億円以下160,000円、50億円以下320,000円、50億円超480,000円。先ほどの3,500万円の例だと、本則20,000円が軽減後10,000円に。住宅購入の現場では「印紙代1万円」と認識されているのはこの軽減税率に基づくものです。期限切れ後(令和9年4月以降)は本則に戻るため要注意。
4. 売主・買主それぞれの原本に印紙が必要
不動産売買契約書は通常、売主用・買主用の原本2通を作成します。印紙税法上は「文書1通ごと」に課税されるため、2通とも収入印紙が必要です。3,500万円の契約なら軽減後1通10,000円×2通=20,000円の印紙が必要。実務では売主と買主で折半する慣行が多いですが、誰がどの印紙を負担するかは契約書本文か別途覚書で明示しておくと安心です。コピーや写しを保管する場合は、原本の写しであることが明示されていれば印紙不要。ただしコピーに署名・押印して新たに合意を示すと「新たな契約書」とみなされ、再度課税されることがあります。
5. 契約金額の判定|消費税・手付金・分割払いの扱い
契約金額の判定は税抜・税込どちらか。土地は非課税ですが、建物は消費税課税対象です。「土地2,000万円・建物1,000万円・消費税100万円」と区分記載されている場合、契約金額は3,000万円(消費税抜き)として判定可(No.7124の考え方)。一方「総額3,100万円(うち消費税100万円)」のように税抜額が読み取れる書き方なら税抜判定OK。「総額3,100万円」とだけ書くと3,100万円で判定されます。手付金は最終的に売買代金に充当されるため契約金額の一部、分割払いも総額で判定。覚書で金額を変更する場合は変更契約書として別途印紙税が課されるため、追加契約書を作るときは要注意です。
6. 印紙の貼り方・消印・貼り忘れたときの過怠税
収入印紙は契約書の表紙左上に貼り、押印または署名で消印します。割印・サイン・スタンプいずれも可。消印がないと「消印もれの過怠税」として印紙税額と同額の過怠税が課されます。貼り忘れた場合は「本来の印紙税額×3倍」の過怠税(本来額の200%加算)が原則ですが、税務署に自主的に申し出れば「本来の印紙税額×1.1倍」(10%加算)に軽減されます。実務上、税務調査で貼り忘れが発覚した場合の追徴は重く、契約書のチェックは契約締結前に必ず実施すべきです。判定は本ツール収入印紙の金額判定で金額を入れて確認してください。
手軽屋ツール実践手順
- 収入印紙の金額判定を開く
- 契約金額(売買代金)を入力
- 第1号文書(不動産売買)を選択
- 軽減税率対象期間(平成26/4/1〜令和9/3/31)かを確認
- 表示された軽減後税額を契約書に貼付
- 売主用・買主用の2通とも忘れずに印紙を貼り消印
関連ツール
参照: No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで(国税庁)、No.7108 不動産譲渡契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)