公立と私立で教育費はいくら違う?小学校5.4倍・中学2.9倍・高校1.7倍を文部科学省の数字で見比べる
文部科学省「子供の学習費調査 令和5年度」の年額平均と在学年数から、 公立/私立の教育費総額の差を学校段階ごとに比較します。
学校段階ごとの年額平均(公立/私立/倍率)
文部科学省「子供の学習費調査 令和5年度」(2025年12月20日公表)の数字です。 学校教育費+学校給食費+学校外活動費(塾・習い事・参考書)すべて含む年額の平均。
| 段階 | 公立(年) | 私立(年) | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 幼稚園(3年) | 約184,646円 | 約347,338円 | 約1.9倍 |
| 小学校(6年) | 約336,265円 | 約1,828,112円 | 約5.4倍 |
| 中学校(3年) | 約542,475円 | 約1,560,359円 | 約2.9倍 |
| 高校(3年) | 約597,752円 | 約1,030,283円 | 約1.7倍 |
年額の倍率は小学校が圧倒的(5.4倍)。これに6年間を掛けると公立202万円・私立1,097万円、 実に約895万円の差となり、家計に大きく響きます。
なぜ私立小学校がここまで高いのか
私立小学校の年額182.8万円のうち、何にお金がかかっているのかを分解すると、 私立特有の費目が積み上がっていることが分かります。
- ・授業料:年50〜80万円が中心。学校法人の財源として最大の柱
- ・施設費・設備充実費:年10〜30万円。プール・体育館・ICT機器の維持更新
- ・寄附金・学校債:入学時に20〜50万円。任意名目だが実質必須の学校も
- ・制服・指定品:入学時10〜20万円+6年で買い替え。ブレザー・革靴・帽子・通学カバン
- ・通学交通費:私立は通学距離が長くなり、6年間で数十万円規模
- ・校外学習・宿泊行事:海外研修や私学独自のキャンプで年10〜30万円
- ・学校外活動費(私立家庭は塾・習い事も多い):年30〜60万円
公立小学校の学校教育費は教科書代が無償(義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律)で、 授業料も無料。差が大きくなるのは構造的な理由です。
私立高校の差が比較的小さい理由(就学支援金の効果)
私立高校は年額103万円で公立60万円の1.7倍。 小学校5.4倍・中学校2.9倍と比べてかなり差が縮まるのは、高等学校等就学支援金の存在が大きいです。
- ・公立高校:授業料相当(年11.88万円)が世帯年収910万円未満で全額支給
- ・私立高校:世帯年収約590万円未満で最大年39.6万円、約910万円未満まで段階的に支給
- ・東京都の独自上乗せ:私立高校に通う場合、所得制限なしで年48万円を加算(実質無償化)
- ・大阪府・神奈川県等:私立高校無償化(または大幅軽減)を独自実施
つまり、文部科学省の表の数字は支援金を引く前の額であり、実際の家計負担は私立高校でも年60〜70万円程度に下がるケースが多くなります。 中学校は就学支援金が限定的(教材費補助のみ)のため、私立中学を選んだ家庭は支援が薄く、ストレートに2.9倍の差を負担することになります。
私立中学受験の塾代(小4〜小6で約140万円)
私立中学を志望する場合、最大の追加支出は「中学受験塾」です。 文部科学省の調査は学校外活動費として塾代も含んでいますが、受験塾は別格の負担になります。
- ・小学4年生:週2回・年30万円程度
- ・小学5年生:週3回・年50万円程度
- ・小学6年生:週4〜5回・年60万円程度(夏期講習・志望校別特訓含む)
- ・その他:模試・教材・志望校別オプション・直前期の家庭教師など年10〜20万円
- ・合計:3年で約140〜170万円。SAPIX・四谷大塚・日能研・早稲田アカデミーなど大手の標準額
受験塾代+私立中学6年+私立高校3年で、公立コースとの差は1,000万円を超えます。 私立中学進学を考える場合、小学4年から大学卒業まで「教育投資」として計画的に準備するのが現実的です。
「全部公立 vs 全部私立」の総額シミュレーション
幼稚園から高校までの12〜15年間で、ふたつの極端なコースを比較します(大学費用は別途)。
- ・全部公立コース:幼稚園55万+小学校202万+中学163万+高校179万 = 約599万円
- ・全部私立コース:幼稚園104万+小学校1,097万+中学468万+高校309万 = 約1,978万円
- ・差額:約1,379万円。子ども2人なら2,758万円規模の差
- ・「公立小→私立中高一貫」コース:幼稚園55万+小学校202万+私立中学468万+私立高校309万 = 約1,034万円(プラス受験塾140万円)
年収・地域・通学範囲・子どもの希望を踏まえつつ、最初に総額レンジを把握してから進路を決めると、 「途中で家計が破綻」「下の子の進路を諦める」事態を避けられます。