偏差値の計算式 T=10(x-μ)/σ+50 の意味を中学生でもわかるように
偏差値はなぜ50が真ん中なのか。70はなぜ「すごい」のか。 式の中身を1段ずつほどいて読む。
式の中身
偏差値の計算式はこれです。
偏差値 = 10 × (自分の点数 − 平均点) ÷ 標準偏差 + 50
記号で書くと T = 10 × (x − μ) ÷ σ + 50。 xが自分の点数、μが平均点、σ(シグマ)が標準偏差です。 順に意味を読みます。
①「自分の点数 − 平均点」で平均からのズレを測る
平均点が60点のテストで自分が80点だったら、ズレは +20点。 50点だったらズレは -10点。 このズレ(偏差)が、まず「平均より上か下か」を表します。
②「÷ 標準偏差」で「みんなのバラつき」と比べる
ここがポイント。+20点がすごいかどうかは、テストによって違います。
- みんなの点数が55〜65に密集しているテスト(標準偏差5)で+20点は「ものすごく上」
- みんなの点数が20〜100まで広がっているテスト(標準偏差20)で+20点は「ちょっと上」
だから「ズレ」を「標準偏差」で割ることで、「みんなのバラつきの何倍ぶん、平均から離れているか」に揃えます。 これが Z得点と呼ばれる値で、統計学の標準的な物差しです。
③「×10 + 50」で見やすい数字にする
Z得点のままだと「+0.5」「-1.2」みたいに小さい数字なので、 日本の受験文化では ×10して50を足す変換が行われています。
- Z=0(平均ちょうど)→ 偏差値50
- Z=+1(平均より標準偏差1個ぶん上)→ 偏差値60
- Z=+2(平均より標準偏差2個ぶん上)→ 偏差値70
- Z=-1(平均より標準偏差1個ぶん下)→ 偏差値40
これで「偏差値60はやや上」「70はかなり上」と直感的に分かる数字になります。
なぜ50と10?
1922年にアメリカの心理学者ウィリアム・マッコールが、心理テストのスコアを 「平均50・標準偏差10」に揃える方法を提案したのが起源です。 名前はT-score。教育心理学者エドワード・ソーンダイクとルイス・ターマンの頭文字から取られています。
日本では1957年に東京都港区立城南中学校の理科教員・桑田昭三が、 進路指導のためにこのT-scoreを学力テストの分析に持ち込みました。 これが現在の「偏差値」のルーツとされています。
偏差値70が「上位2.3%」になる理由
テストの点数分布が正規分布(左右対称の釣鐘型)に近いとき、次の目安が成り立ちます。
- 偏差値40〜60(Z=±1)の範囲に約 68.3% が入る
- 偏差値30〜70(Z=±2)の範囲に約 95.4% が入る
- 偏差値20〜80(Z=±3)の範囲に約 99.7% が入る
だから偏差値70以上は上から(100-95.4)/2 ≒ 上位2.3%、 偏差値60以上は約 上位16%、 偏差値80以上は約 上位0.13%、になります。 この「68-95-99.7則」は統計学の基本ルール。覚えておくと模試の偏差値が一発で「すごさ」に翻訳できます。
上限も下限もない
偏差値はあくまで計算式の結果なので、原理的には100超えも0未満もあり得ます。 平均点が10点のテストで自分が80点を取れば、+70/標準偏差ぶん上にいるわけで、 標準偏差が小さければ偏差値100超えが普通に出ます。 逆に平均90点のテストで0点なら偏差値はマイナスにもなります。