マンション特有の災害リスク
戸建てとは違う配慮が必要です。総務省消防庁・東京都防災・国土交通省のガイドラインで指摘されているリスクをまとめます。
- ・エレベーター停止:停電・地震感知で自動停止。復旧まで数日〜1週間
- ・断水時の階段運搬:高層階ほど水運搬が困難(4Lで4kg・1人1日3L×家族分)
- ・上層階の強い揺れ:長周期地震動で家具転倒・固定家具のずれ・スプリンクラー破損
- ・水道直結式(増圧ポンプ式)の断水:停電で給水ポンプ停止→全戸断水
- ・下水管破損で下層階に逆流:トイレ・台所の使用禁止
- ・建物倒壊・損傷なしでも在宅避難になる:マンションは耐震基準が高く全壊しにくい
- ・ガラス飛散:高層階の窓ガラス・タワマンの窓は熱反射ガラス特殊
在宅避難が前提
マンション住人は避難所ではなく在宅避難が国の方針です(東京都「東京都地域防災計画」)。理由は次の通り。
- ・新耐震基準(1981年以降)のマンションは倒壊しにくい
- ・避難所キャパは「全住民の3%」程度しかない
- ・タワーマンションが全員避難所に行けば収容不能
- ・在宅避難は感染症リスク・プライバシー保護でメリット
- ・マンションの在宅避難は「自宅に閉じ込められる」前提で備蓄を増やす
この前提が「マンションでは1週間分の備蓄を強く推奨」される理由です。
狭小住居の分散保管術
ワンルーム・1LDKでも分散保管は可能。専用の収納スペースを作らず、既存のデッドスペースを活用します。
- ・玄関収納:非常持ち出しバッグ・モバイルバッテリー・ヘルメット
- ・ベッド下:水ペットボトル(高さ10cm程度に揃えて並べる)
- ・押入れ上段:レトルト・缶詰の段ボール箱
- ・キッチン背面:カセットコンロ・ボンベ・紙皿・割り箸
- ・洗面台下:簡易トイレ・トイレットペーパー予備
- ・クローゼット下段:着替え・タオル・防寒シート
- ・テレビ台・ローボード裏:薄型備蓄ラックを挿入
- ・玄関の上の天袋:使用頻度低めの防災用品
水の備蓄:階段運搬を減らす
断水時、給水車から自宅まで水を運ぶ必要があります。高層階ほど大変です。
- ・家族×3L×7日分を事前備蓄:給水車に頼らず1週間自給を目指す
- ・500mLペットボトルも併用:軽量で運びやすい・配り分けやすい
- ・給水袋(折りたたみ式10L・20L):玄関に常備
- ・浴槽の残り湯を残す習慣:トイレ流し・洗濯に200L確保
- ・キャリーカート・台車:階段運搬用
簡易トイレは必需品
マンションでは下水管破損リスクが高く、自宅トイレが使えない期間が長くなりがちです。
- ・1人1日5〜7回×7日分:4人家族なら140〜196回分
- ・便袋+凝固剤+黒い消臭袋のセット
- ・予備のトイレットペーパー:1人1ロール/週
- ・下層階住人への配慮:下水管復旧確認まで自宅トイレ使用禁止
- ・マンション理事会の災害対応マニュアル確認
家具固定は最優先
首相官邸「災害が起きる前にできること」では、家具の置き方が最初に挙げられています。マンションは賃貸でも壁固定が許される場合が多いです。
- ・賃貸OKの固定具:突っ張り棒・粘着マット・ベルト式
- ・家具の上に物を置かない
- ・寝室は背の低い家具のみ
- ・出入口を塞ぐ位置に家具を置かない
- ・テレビ・電子レンジは粘着マットで固定
- ・本棚・食器棚はL字金具で壁固定(賃貸要相談)
マンション全体の備え
個人の備蓄に加え、マンション全体の備えも確認しましょう。
- ・共用部の防災備蓄倉庫:管理組合で水・食料・簡易トイレを備蓄しているか
- ・非常用発電機:エレベーター・給水ポンプ復旧用
- ・受水槽の有無:受水槽式マンションは停電でも数日分の水が残る
- ・防災マニュアル:管理組合のものを確認
- ・近隣の助け合い:同じフロアの住人と日頃から挨拶
- ・マンション内の医療従事者・防災経験者を把握
タワーマンション特有の備え
- ・長周期地震動による20階以上の大揺れ対応:家具固定を強化
- ・エレベーター停止で20階以上の階段運搬は実質不可能:在宅自給1週間以上の備蓄
- ・高層階の窓ガラス飛散対策:飛散防止フィルム
- ・共用エントランスの認証システム:停電で開かない場合の代替手段
- ・機械式駐車場:停電で出庫不可能
使ってみる
出典:首相官邸「災害が起きる前にできること」、東京都「東京備蓄ナビ」、内閣府防災「マンション防災」、 総務省消防庁「家具の転倒防止」、東京都「東京都地域防災計画」。