暗号化PDFを整理したいときの手順
銀行明細・社内資料・公的書類などはAES-256やAES-128で暗号化されたPDFで配布されます。これらをそのままPDFページ整理ツールに渡してもエラーで開けません。本記事では、パスワード解除→ページ整理→再暗号化の流れと、触らない方が良いケースを順に解説します。
※自分が正規のパスワード所有者であるPDFのみを対象にしています。他人のパスワード解析を意図したものではありません。
1. PDF暗号化の3階層
PDFの暗号化はISO 32000-1:2008 で3パターン定義されています。
- ・RC4 40bit / 128bit:PDF 1.4〜1.6時代の標準暗号化。古いAcrobatで作成。現在は脆弱とされる。
- ・AES-128 (V=4):PDF 1.6から導入。Adobe Acrobat 7以降が標準。十分な強度。
- ・AES-256 (V=5/V=6, R=5/R=6):PDF 1.7 ExtensionLevel 3 / PDF 2.0標準。最新のAcrobatで作成。実質ブルートフォース不可能。
AES-256のPDFは、パスワードを知らない限り中身を読むことはできません。
2. パスワードの種類を確認する
PDFには2種類のパスワードがあります。整理しようとしているPDFがどちらかをまず確認します。
- ・ユーザーパスワード(開くパスワード):これがないとPDFが開けない。
- ・オーナーパスワード(権限パスワード):PDFは開けるが、印刷・編集・コピーが制限される。
ユーザーパスワードがかかっていれば、ページ整理ツールに渡してもパスワード入力UIがないため処理できません。オーナーパスワードだけなら、ビューアによっては読み込み可能ですが、本ツールはどちらの場合も非対応にしています。pdf-libのignoreEncryption: trueオプションで強制読込はできますが、保存時に内容欠落のリスクが高いためです。
3. パスワード解除の手順
自分がパスワードを知っている場合、以下のいずれかでパスワードを外したPDFを作成します。
- 1.PDF→パスワード解除(手軽屋):ブラウザ内処理で暗号化PDFを開き、パスワードなしPDFとして保存。Cloudflareに何も送られない。
- 2. Adobe Acrobat Pro:「ファイル→プロパティ→セキュリティ→セキュリティ方法→セキュリティなし」を選択して上書き保存。
- 3. Mac標準のプレビューアプリ:「ファイル→書き出す」でPDFを再保存(パスワードオプション非選択)。
解除したPDFは元PDFと別名で保存し、元PDFは消さずに残しておきます。万一の復元用です。
4. パスワードなしPDFを整理
PDFページ整理に解除済みPDFを読み込み、削除・並べ替え・回転を行います。ここはパスワードなしPDFと同じ手順です。
整理が終わったら「この内容でPDFを保存」でダウンロード。新しいPDFファイルにはパスワードがかかっていません。
5. 再暗号化が必要かを判断する
整理が終わった後、再びパスワードをかけるべきかを判断します。
- ・個人が自分のローカル保管用:パスワード解除のままで問題なし。OS側の暗号化(FileVault/BitLocker)に任せる。
- ・共有先がある(顧客・取引先・社内):必ず再暗号化。Adobe AcrobatでAES-256パスワードをかけて配布。
- ・クラウドストレージで保管:クラウド側の暗号化が信頼できる場合はパスワードなしでもOK。最低限二要素認証は有効に。
- ・第三者を経由するメール送付:必ず再暗号化。パスワードは別経路(電話・SMS)で伝える。
6. 触らない方が良いケース
以下のPDFは、自分がパスワード所有者であっても、ページ整理を避けたほうが安全です。
- ・電子署名付きPDF:ページ削除・回転で署名が無効化されます。法的効力を失う可能性。
- ・タイムスタンプ付きPDF:電子帳簿保存法対象書類。原本性が失われると保存要件違反になり得ます。
- ・不動産登記・公正証書:原本性が法的要件。整理は控え、コピー版で行う。
- ・銀行明細PDF:金融機関の電子証明書付き。整理すると改ざん扱いになる場合があります。
判断に迷う場合は、エンジニア・法務担当・税理士・弁護士に確認してから作業してください。
まとめ
暗号化PDFの整理は「パスワードの種類確認→PDFパスワード解除で開放→PDFページ整理で削除・並替・回転→共有先がある場合は再暗号化」の流れ。電子署名付き・タイムスタンプ付き・公的書類のPDFはページ整理を避けるのが安全です。